笑顔のそばに
第5話
【松原麗華side】
将斗くんとお付き合いを初めて1ヶ月と少し。
ついにやらかしてしまった。
いや、いつかはする自信があったんだけど。
…はい、喧嘩しました。
本当に些細なことで。
今日は大晦日。
大分前に“大晦日の日、バイト終わったら会おう”って言われて、本日まで覚えてた。
覚えてたのは覚えてたんだけど…
まさか本当に会うとは思わないじゃん。
友達が私の家で呑んでるから酒パーティってなってるけど。
『酒パーティなう』
『なら今日は無しなんやな』
『会うって言ってたやつ?』
『忘れてたならいいよ。』
『覚えてるよ?』
『別にいい。』
…怒らせてしまった…
忘れてないって言ってるのに…
しかも何も進展ないまま将斗くんバイト行っちゃうし…
「麗華呑まないの?」
「…うん、今日はジュースにする」
もしかしたら会えるかもしれないから。
怒らせたならちゃんとあって謝りたい。
『きょう会えやんのやんな?』
…23時少し前。
バイトが終わったのか連絡が来た。
『今から?』
『うん』
『会えるよ。』
『酒飲んでないん?』
『うん。』
のんでなくてよかった。
本当にそう思った。
…でも、怒ってるよね…
私が怒らせた。
怒らせるつもりなんてなかったのに…
「…気になるなら会いに行けばいいじゃん」
ぐびぐび飲んでいる友達が携帯の画面を覗き込みながら一言。
「行って謝って一緒に年越ししてきなよ。」
…元々一緒に年越ししたいね、とは言ってて。
今日こんな喧嘩すると思ってなくて。
会えるなら、会いたい。
どうしても。
「お母さんっ!」
「うわっ…びっくりした、どうした?」
「…将斗くんに…会いに行ってきてもいい?
…一緒に年越しして新年迎えたい…」
現在の時刻は23時。
いつもなら外出できない時間だ。
「うん、いいよ。」
「え?」
「いや、むしろ行かないのかなあって思ってた。」
「?」
「年末出かけるーって言ってたくせになかなか出ていかないなあって思って。
喧嘩でもしたんか?とは薄々感じてたよ。」
…流石と言うべきかなんなのか…
「…お父さん」
「ん?」
「将斗くんのところ…」
「行ってこい。」
「本当?!」
お父さんの性格上絶対だめって言うのに…
「あんまり遅くならないようにな。」
「…うんっ…」
「今まで入院して年越ししてたろ。
だから彼氏が出来たなら家族とじゃなくて大切な人と迎えなさい。
いなかったら家族で過ごせばいいだけの話なんだから。」
お父さん…
ここまで優しいお父さんを見るのは初めてかもしれない。
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