夢みたもの
示されるまま振り返ると、そこにあったのは、壁に掛かった大きな油絵だった。


ヨーロッパの街並が明るいタッチで描かれた絵は、店の雰囲気に合っている。

それに、店内をよく見回すと、大小の違いはあるけれど、他にもいくつか絵画が飾られている。


「・・・綺麗・・・」


あたしがため息混じりにそう呟くと、ユーリは嬉しそうに目元を和ませた。



『叔父はヨーロッパを中心に画家として活躍してる。今回、日本の大学で客員教諭として招かれて、それで僕も一緒に来た』



ユーリはそこまで書いたノートをあたしに見せて、あたしが読んだ事を確認すると、流れるようにペンを動かして続きを書く。


そして、とまどいがちに手渡されたノートを見たあたしは・・・・

一瞬で頬が熱くなったのを自覚した。


「ちょ・・ちょっと・・・・冗談でしょ!?」


閉じたノートをユーリの胸元に押しつけて、あたしは視線を逸らした。

恥ずかしくて、ユーリを直視する事が出来ない。



見間違いだろうか?

見間違いかもしれない。


目に飛び込んできた文字に驚いて、慌ててノートを閉じてしまったから・・・


見間違いである事を祈りつつ、どうしたら良いか分からなくて、あたしは口元を押さえて俯いた。


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