夢みたもの
いつの間に増えたのか、店内に居た全ての客が集まっても足りないぐらいの人がユーリのピアノに聴き入っている。

ピアノに向かうユーリは、絵になる以上に綺麗で・・・中高年の女性客の中には、頬を赤くして魅入っている人も居る。


「・・・・ね?」


崇さんは嬉しそうにあたしに笑いかけた。


「こんなに人を魅了する事が出来る・・・・悠里の才能と魅力は天性のものだよ。それを失うなんてとんでもない」

「本当・・・そうですね」


その言葉に、あたしは深く頷いた。



ユーリの為に何か出来る事があるなら、あたしはそれをしてあげたい。

昔、ユーリがあたしを救ってくれたように、今度はあたしがユーリを救いたい。



そう強く思った。






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