夢みたもの
動き出す想い

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ユーリの過去を聞いてから、あたしの生活は慌ただしくなった。



ユーリはあたしの立場に気を使ってか、公の場であたしと会う事を避けたがった。

だから、会うのは放課後の音楽室か休日のカフェ・STRAUB。

航平にユーリの事を話していないあたしは、その申し出に助けられつつ、放課後は、人に見られないようにヒヤヒヤしながら図書室と音楽室の移動をするようになった。



「なんかさぁ・・・、最近のひなこ、鞠子達に隠し事してない?」

「・・え?」

「話しかけてもうわの空だったりするし、放課後はさっさと図書室に行っちゃうしさぁ?」


昼休み。

いつものように3人で囲んだ弁卓で、鞠子は口を尖らせながら言った。


「なぁんか、おかしくない?」

「隠し事なんて無いよ?」


内心ドキドキしながら、あたしは出来るだけ平静を装って笑った。


「ちょっと調べものしたりしてて忙しいの。夜もそのせいで寝不足気味だから・・・ぼーっとしてるかもね?」

「ふぅん?」


鞠子は全然納得していない表情で鼻をヒクヒクさせると、隣に座った葵に視線を送った。


「どぉ思う?葵ちゃん?」


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