夢みたもの
「何か思い当たる事があった?」

「・・・何もないよ?」


速まった鼓動を抑えながらそう言うと、葵は相変わらずニヤニヤ笑いながら首をかしげた。


「嘘ばっかり。長い付き合いで私を誤魔化せると思う?こういう時のひなこって、分かりやすくて好きよ」

「違うよ!その・・・勘違いだと思うし・・・」

「あら、勘違いかどうかなんて、ひなこの判断だけで分かるものじゃないでしょ?」


「いいから教えなさい」という葵の無言の圧力に、あたしは葵と目を合わせないように俯いて、おずおずと口を開いた。



「約束したの・・・」

「何を?」

「クリスマスに・・・一緒に出かけようって」

「・・・・」

「あ!でも、幼なじみとしてだよ!?深い意味はないから・・・」


あたしは顔を上げると、慌てて頭を振った。


「え?でも」

「ただ・・・航平は喜んでたみたいで、確かにご機嫌って言うか・・・」

「それって・・・」

「ホント自意識過剰だよね!?自分でもそう思うもん!だから気にしないで!聞かなかった事にして!!」


最後は、まくし立てるように一気に言い切った。

そして、言い切ったは良いけれど、余りの恥ずかしさに、葵の視線を避けて再び俯くしかなかった。



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