夢みたもの
「でも・・・ひなこの事が理由でないなら、堤君が浮かれてる理由は何なのかしら?」


葵はそう言って首をかしげた。


「・・・さぁ?」

「浮かれるのは勝手だけど、周りへのサービス精神が倍増するのは迷惑だわ」


葵は頬杖を突いてため息を吐くと、首をかしげたあたしにチラリと視線を送ってきた。


「でも・・・やっぱり原因は、ひなこ以外に考えられないわよね?」

「ホントに何もないよ?」

「本当?最近、堤君の事を喜ばせるような言動や行動をとっていないかしら?」

「うん。特に・・・あ・・」


「特にない」そう言いかけたあたしは、ふと思い当たる事があって口籠もった。



もしかして・・・



2週間前の夜にした約束を思い出す。

そういえば・・・あの時は凄く喜んでいた気がする。

そして、思い返せばあの日から、航平のご機嫌は続いている気もする。


「うぅん、まさかね」


あたしは一人呟いて頭を振った。


こんな事を考えるなんて、あたしって自意識過剰過ぎる。

そう思いながら、あたしを見つめている葵に愛想笑いをすると、葵はあたしを見つめたまま、ニヤリと小さく笑った。



< 205 / 633 >

この作品をシェア

pagetop