夢みたもの
「本当に、深い意味はないから・・・」


葵にそう言うと、あたしは深いため息を吐いた。


全部喋ったせいか、冷静になれた気がする。

あたしはもう一度ため息を吐くと、苦笑して葵に笑いかけた。


「クリスマスって、男子にとっても特別なのかな?航平もどうせ誘うなら、いつも顔を合わせてるあたしじゃなくて、他の子を誘えば良いのにね?」

「・・・え!?」

「だって、幼なじみと一緒に出かけたって、ムードも何もないじゃない?周りはカップルだらけだし、虚しくなったりしないかなぁ?」

「ちょっと、ひなこ?」

「航平はそれで良いのかな?・・・ね?」


首をかしげて同意を求めたあたしは、葵が目を見開いてあたしを見ている事に気付いて口をつぐんだ。


「・・・え?なに?」


驚きと呆れをない交ぜにしたような表情の葵は、しばらくあたしを見つめた後、ゆっくりまばたきをしてため息を吐いた。



「ひなこがこの手の話に疎い事は、昔から充分理解してるつもりだけど・・・」

「え?」

「さすがにそろそろ、彼が可哀想だわ・・・」

「・・・・?」


首をかしげたあたしを真っ直ぐ見つめて、葵はあたしの許容範囲を超えた言葉を口にした。



「幼なじみを超えた存在として、堤君はひなこの事が好きなのよ。いい加減、気付いてあげなさい」



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