夢みたもの
「それで?もう言い訳は終わり?」

「言い訳って・・・」


航平の言葉を受けてそう呟いたものの、それ以上の言葉は出てこなかった。

今のあたしは、言い訳する事しか出来なかったから。



「それじゃ、俺が代わりに説明してみようか?」


航平はそう言うと、不機嫌な表情のまま口を開いた。


「昔の知り合いに再会したひなこは、相手が喋れない事にショックを受けて力になりたいと思った。本で病気を調べたり、僅かな時間でも相手と一緒に居る事を望んだ。・・・日本語が通じないと思われている相手の為に、他の生徒に見付からないようにコッソリと。幼なじみにも秘密にして、ね?」

「・・・秘密にしようと思った訳じゃないの!ただ・・・、教室で騒ぎがあった時、航平が凄く怒ってたから、だから・・・少し様子を見てからって・・・」

「俺には『関係ない』からじゃないの?」

「違うよ!!」


あたしは慌てて首を横に振った。


そんなつもりじゃなかった。

ただ、航平とユーリ・・・2人と良い関係を築きたかっただけ。

2人共、あたしにとって大切な人だから。



「俺はね、ひなこ・・・?」


その声に航平を見上げると、さっき迄とは違って、航平は寂しそうな表情であたしを見つめていた。


その表情に、今度は胸がズキズキと痛み出す。

息苦しい程に胸が締め付けられて、後悔がどっと押し寄せてくるようだった。



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