夢みたもの
「ひなこ?」

「あたしは・・・」


その後の言葉が思い付かなかった。


『あたしは・・・』

あたしはどうしたいんだろう?



航平と離れたくない。


この気持ちは絶対なのに、それが何なのかと聞かれたら、答える事が出来ない。


「・・・よく・・分かんない・・・」

「・・・・」

「航平は幼なじみでしょ!?・・・・あたしだって航平の事は好きだけど、でも・・でもそれは・・・」

「簡単な事だよ?」


航平はそう言って小さく小さく笑った。


「ひなこが俺と居たいか、・・・・叶と居たいか、それだけの事だよ」

「何で選ばなくちゃいけないの!?」


2人共大切で、選ぶ事なんて出来ない。

選ぶ必要があるとも思えなかった。


あたしが首を横に振ると、航平は深いため息を吐く。


「たぶん、叶もそうだろうけど・・・。俺は、ひなこの事が苦しい程に好きだ。・・・だからこそ、このままで居るのは辛い・・・」

「・・・・・」

「ひなこは、誰と一緒に居たい?・・・・今、頭に浮かんだのは誰?」


航平の真っ直ぐな視線に圧倒される。


航平と離れたくない。


でも・・・

でも、ユーリの事を大切に思う気持ちが存在する事も事実だった。


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