夢みたもの
その場を動こうとしないあたしの意を汲んでくれた美野里さんは、近くの自販機で温かいココアを買ってくると、あたしの隣に腰を下ろした。


「それで?どうしてそんなに落ち込んでるの?」

「・・・あの・・・」

「うん?」


いつものように明るく笑った美野里さんに少し勇気づけられて、あたしはおずおずと口を開いた。



━・・━・・━・・━



「・・・ふぅん?なるほどねぇ〜・・・」


あたしが大まかな経緯を話し終えると、美野里さんはそう言って息を吐いた。

公園の電灯に照らされて、吐いた息が白く見える。

いつの間に暗くなったんだろうと思いつつ、あたしはぬるくなったココアの缶を手の中で転がしながら、美野里さんの言葉を待った。


「2人の男性に・・・それもとびきりイイ男に想いを寄せられるなんて、女冥利に尽きるじゃない!?・・・と言いたい処なんだけどねぇ?」

「・・・そんなんじゃないです」

「そうみたいね」

「・・・・・」

「ねぇ、ひなこちゃんはどうしたかったの?」


美野里さんは、真っ直ぐあたしを見てそう言った。


「どう・・・って、ユーリとは離れる訳にはいかないって・・・・」

「うん。でもそれは、ひなこちゃんが本当に心から望んだ事かしら?」

「・・・え?」

「本当は、幼なじみの彼と一緒に居たかったのに、悠里君の事が気掛かりで、悠里君を選んでしまったんじゃない?」

「それは・・・」


あたしは口籠もって、美野里さんから視線を外した。



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