夢みたもの
「まったく‥」


2人の後ろ姿を見つめながら、宮藤君はため息を吐いた。


「ま、部員の方が騒がしいに決まってるか‥‥」


「‥あ あの‥‥ありがとう」


突然現れた助け人に驚きつつ、あたしは慌ててお礼を言った。

よく考えれば、生徒会室に向かう処なのかもしれない。

でも、普段面倒な事に関わらなさそうな宮藤君が助けてくれたのは少し意外だった。


「うちの女子部員に立ち向かおうとした、雪村さんのその勇気にね?」


宮藤君はあたしをチラリと見て僅かに笑った。


「それにしても、相変わらずの有名人だね?」

「‥‥嬉しくありません」

「そりゃそうだ」


宮藤君はそう言って笑うと、あたしの顔を覗き込んで「ふぅん?」と呟いた。


「泣いてるかと思ったけど‥‥大丈夫みたいだね?」

「あ‥うん。それは‥強くならなくちゃ‥って思って」

「立派だよ」


「女の子は強いね」そう付け加えた宮藤君は、あたしの視線に気付くと首をかしげた。


「なに?」

「宮藤君は‥噂を信じてないの?最近は皆、あたしと距離を取りたがるのに」

「何で?」

「‥‥何でって‥」


あたしが口籠もると、宮藤君は小さく笑った。



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