夢みたもの
「堤君と別れたんでしょ!?別れたくせに‥何甘えてんの!?そういうトコが許せないんだよ!」


「‥別に甘えてなんて‥‥」

「嘘ばっかり!!大人しそうな顔して‥‥ホントは遊んでるんでしょ!?か弱そうにして男の事騙して‥誘惑してるんだ?援交してるって知ってるんだから!!」


「‥サチ!!」

「‥‥もう その辺にしておけば?」


アヤと呼ばれる子が咎めるように名前を叫ぶのと、聞き覚えのある声が聞こえたのは、ほぼ同時だった。



「夕暮れ時に何を騒いでるのかと思えば‥‥」


不機嫌そうに眉根を寄せて、あたし達をぐるりと見回したのは‥‥敏腕生徒会長の宮藤君だった。


「女子が感情的に人を中傷する姿は醜いねぇ‥」


宮藤君はサチと呼ばれる子に視線を送ると、そう言って肩をすくめた。


「それに、女子は練習量が足りないとみえる。練習後にこんな処で大騒ぎしてるんだから」

「‥‥そんな事‥」

「理由はどうあれ‥‥こんな事しているなんて部の恥だと思わない?‥ねぇ 女子キャプテン?」


「‥‥その通りね」


アヤと呼ばれる子がため息を吐いてそう言った。


「サチ、帰るよ?」


顔を真っ赤にしつつも‥すっかり大人しくなった彼女に声をかけると、アヤと呼ばれる子は一瞬あたしを見て呟くように言った。


「‥‥ごめんね」


そして踵を返すと、2人は颯爽と廊下を歩いて行った。



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