夢みたもの
「あの‥、ちょっと行き違いがあったのは本当ですけど‥‥でも、航平のせいじゃありません。どちらかと言えば、あたしの方が悪いんです‥‥」


しどろもどろになりながら、あたしは必死に言い訳をした。


あたしが嘘をついたりしなければ‥

隠し事をしたりしなければ‥‥

きっとこんな事になってはいなかった。


2人のどちらかを選べなんて‥‥

そんな言葉を航平に言わせる事はなかったと思う。



「‥‥ホント、あたしのせいなんです‥」


あたしは俯いて、呟くようにそう言った。

自分で言った言葉で、さらに追い詰められるような気がする。

でも、それは自業自得だ。


「‥‥そう。‥でも、ひなこちゃんにそんな顔をさせる程追い詰めたなら‥‥やっぱり謝らないといけないわ」

「‥え?」

「原因は航平の我儘でしょう‥?仕方がない事とは言っても‥‥申し訳ないわ」

「‥‥?」


おばさんの言葉に、あたしは顔を上げて首をかしげた。


意味が分からない。


そんなあたしにおばさんは小さく笑いかけると、ため息を吐いて口を開いた。


「この話をしたって‥航平には内緒ね?あの子‥‥昔の話をされるの凄く嫌がるの」


「‥‥あの‥でもあたし、小さい頃から航平とずっと一緒だったし、今更知らない事なんて‥‥」

「そう。だから‥ひなこちゃんに出会う前の話」

「‥‥前‥?」


あたしは小さく息を飲んで、おばさんをまじまじと見つめた。



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