夢みたもの
「‥‥そう、間違い」


おばさんはそう繰り返すと、さらに続きを話す。

昔の事を思い出しているのか、その表情は苦しげで‥‥あたしはいたたまれない気持ちになった。


「確かに大学は、航平が望む知識を与えてくれたの。でも、受け入れた大学の目的は、ギフテッドの研究だった」

「‥‥」

「別に人体実験をされる訳じゃないけど、観察されて、脳波やデータを取られて‥‥」

「それって‥‥」

「これもギフテッドの特徴らしいけど‥‥」


おばさんはあたしを見て小さく苦笑した。


「航平は、人より感覚そのものが鋭いの。長く一緒に居ると、私の考えてる事が分かるんじゃないか‥ってぐらいに、同調してる時がある。‥‥ひなこちゃんもそういう経験ない?」

「‥‥あ‥」


そういえば‥‥

頭が良いからとしか思っていなかったけれど、航平は時々、あたしの気持ちを鋭く見抜く事がある。


それが、能力‥‥?



「ギフテッドを専門に教育する施設が海外にあるって知ったのは、ずっと後の事だった。その時の私達夫婦は、航平により多くの知識を‥高い能力を‥って、それしか考えていなかったの」

「‥‥」

「だって‥『お宅のお子さんは天才です』そんな事を言われて、嬉しくない親が居ると思う‥?私も主人もすっかり舞い上がって‥‥航平の気持ちをちゃんと考えていなかった」


おばさんはため息交じりにそう言って視線を落とした。



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