夢みたもの
「そう‥」


おばさんは荷物を見つめて眉根を寄せた。


「同い年の子と航平は、お互いに理解し合えなかったの。‥‥当たり前よね?精神的にも知能的にも‥航平は何歳も上なんだもの。結局、小学校に行っても航平は孤独だった。そして、同じ日本人なのに理解出来ない事実は、航平に耐えられなかったんだと思うわ」

「‥‥」

「部屋に閉じこもって本ばかり読んで‥、そんな生活を半年以上も続けていたの」


「‥‥羨ましいって思う?」

「‥え?」


質問の意味が分からなくて、あたしは首をかしげておばさんを見つめた。


「羨ましい‥?」

「よく言われたわ。賢い子供を持ってるくせに、そんなの贅沢な悩みだ‥‥って」


「‥‥そんな事‥」

「贅沢な悩みだって言われる度、私は怒りで頭がおかしくなりそうだった‥‥」

「‥‥」

「自分の子供が苦しんでるのに‥‥どうしたら良いのか分からないの。贅沢な悩みだって言うなら、航平の能力なんて‥誰かに渡してしまいたかった」

「‥‥」

「今思えば、精神的に追い詰められて‥私もおかしくなりかけていたんだと思うわ」


おばさんは、恥かしそうにフフッと笑ってあたしを見た。


「そんな時、ひなこちゃんが現れたの」



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