夢みたもの
あたしは思わずその場にしゃがみ込んだ。

小さくなれば、噴水の縁に隠れて見えないと思ったから‥‥



視界に入った人物。

寒さを感じさせない程、颯爽と公園を横切っていくのは‥‥


今日一番会いたくないと思っていた‥‥ユーリだった。



「何で‥?」


小さく呟きながら、あたしはユーリの姿を目で追った。


STRAUBと崇さんのアトリエが近いから、絶対ユーリが通らないとは言えない。

どちらかと言えば、通りかかる可能性の方が高いぐらいだ。


でも、例えそうだとしても、余りにもタイミングが悪い。

いつも物腰柔らかく歩くユーリは、何か急いでいるのか、脇目も振らず歩いていく。



「‥‥ごめんね‥」


ユーリの後ろ姿を見つめて、あたしは小さく呟いた。



後ろめたくて


胸が痛む



どうして、こんなに胸が痛むんだろう‥‥?


別に、やましい事をしてる訳じゃない。

それなのに、こそこそ隠れたりして‥‥

これじゃ、ユーリにどう思われても言い訳なんて出来ない。



でも‥

でも‥‥


ユーリに、航平と一緒に居る処を見られたくなかった。



日々、どんどん表情が豊かになるユーリ。

昔みたいな笑顔を見せてくれる事もあって、あたしはその度に、どぎまぎする。


ユーリは今でも

幼い頃あたしを救ってくれた天使。

昔より凄みを増した美しさは、一緒に居て圧倒されるものがあった。



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