夢みたもの
「返してっ!!」


「へぇ〜、泣くだけじゃないんだ?」


感心したというように口笛を吹くと、男はあたしと携帯を交互に見て笑った。


「俺、堤みたいな奴‥‥すっげームカツクんだよね」

「‥‥」

「ちょっと頭が良いからって、バカにしてんじゃねーの?中学の時から‥‥ホント鼻につく奴」


そう言って鼻で笑うと、男は着信画面をあたしに見せて、携帯をヒラヒラと振って見せる。


「で?2人はどういう関係?」

「‥‥」

「デキてるの?」

「‥‥」

「デキてるんだ?」


「‥‥関係ないでしょ!?」

「ふぅん?」

「携帯返してよ!?」


自分でも驚く程、強い口調だった。


自分にも、こんなに主張出来る事があるんだと‥‥

大切なものを守りたいと‥‥

そう、強く思った。



「返して!」


出来るだけ男を睨んで、あたしは手を差し出した。


「あなたに関係ないでしょ!?」

「‥‥へぇ‥」

「早く!!」


男の手の中で、携帯は着信を知らせ続けている。



お願い。

‥‥切れないで‥!!



心の中で強く願った。



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