夢みたもの
航平とユーリ。


ついさっきまで

確かに2人と繋がっていたのに。


助けを求める声は

2人に届かなかった。



「ほら、立てよ?」


腕をつかまれて引っ張られる。

でも、立ち上がる事が出来なかった。



「諦めろって」

「‥‥」

「こんな日にここに来るような奴いねーからさ?」


ニヤリと笑う男に、背筋が凍る。


「‥‥!?」


その時、手の中の携帯が再び振えはじめた。



これを逃したら、もう逃げられないかもしれない。


そう思ったあたしが携帯を開くのと、視界の中で素早く何かが動いたのは、ほぼ同時だった。



「‥‥!!」


「逃がさねーよ」


そう言って鼻で笑う男。

その手に握られていたのは、あたしの携帯だった。


「なに?『助けて』とでも言うつもり?」


携帯を開いた男は、「ふぅん?」と小さく笑う。


「【航平】ねぇ‥‥【堤 航平】かぁ」

「返してっ!!」


あたしは男の手につかみかかった。

航平に繋がる携帯。

それを失う事なんて出来ない。


自分から‥‥

航平と父親以外の男性に近付くなんて、初めてだった。



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