夢みたもの
黄ばんでボロボロになった紙。

それを大切そうに開くと、幼いあたしは食い入るように見つめる。


「‥‥さんがつ、ようか‥‥」


たどたどしく読み上げるそれは‥‥母からの手紙だった。



┏*‥━‥━‥━‥━‥━‥*┓
*             *
┃ 3月8日生まれ      ┃
: ひなこ         :
┃             ┃
: 事情があり       :
┃ 今はどうしても、この子 ┃
: を育てる事が出来ません :
┃ でも、必ず‥‥     ┃
: この子が5歳になる迄に  :
┃ 迎えに行きます。    ┃
:             :
┃ どうかそれまで      ┃
: ひなこをお願いします。 :
┃ 必ず          ┃
: 必ず迎えに行きます。  :
┃             ┃
: ひなこ ごめんね    :
┃             ┃
: 独りぼっちにさせて   :
┃ 悲しい思いをさせて   ┃
: でも          :
┃ 貴女を大切に想ってる  ┃
: 貴女は、私の大切な宝物 :
┃ だから、待ってて    ┃
: 母の身勝手なお願いを  :
┃ どうか‥許して下さい。 ┃
:             :
┃ 貴女を愛してる     ┃
*             * 
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