夢みたもの
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ユーリが一般病棟に移ったのは、それから2週間後だった。


いつの間にか年が明け、学校が始まった。

葵と鞠子が毎日のようにお見舞いに来てくれて、その時は看護師さんが呆れる程、病室が賑やかになる。

2人と一緒に居ると、気持ちが晴れるような気がした。



そんな中。

ユーリの病室では、ベットの周りにある機械から規則的な電子音が響いている。


まだ、意識は戻らない。

酸素マスクと機械から延びる沢山のコードに囲まれて‥‥、ユーリは青白い顔で横たわったままだ。



あの時。


迫ってくるトラックからあたしを助けてくれたユーリ。

あたしを歩道側に押し出して‥‥ユーリが身代わりになったと、後で聞いた。

そのおかげで、その時既に気を失いかけていたあたしは、抵抗する事無くガードレールに打ち付けられただけ。


身代わりになったユーリは、トラックに跳ね飛ばされて重傷を負った。



「‥‥ごめんなさい‥」


ユーリを目の前にすると、自然と謝罪の言葉がこぼれる。


何度謝っても足りない。

足りる筈がない。



どうか‥‥

どうかユーリが、目を覚ましてくれますように。


ユーリの手を両手で包み込むようにして握り締める。

握り返す事のないその手は、ひんやりと冷たかった。



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