夢みたもの
「‥‥ちょっと、何‥!?」


声を上げかけたあたしに顔を近付けると、航平は口元に指を立てた。


「‥しっ‥‥静かに」

「‥‥!?」


航平との距離が近い。

柱と航平に挟まれるような状態になって、あたしの鼓動が一気に早まった。


「何なの?」


航平との距離が近過ぎて、鼓動が聞こえてしまうんじゃないかと不安になる。

顔が熱くなるのを感じながら、あたしは出来るだけ航平と距離を取ろうと身動きした。



「じっとして」


航平がさらに距離を詰める。

ますます混乱したあたしは、息苦しさを感じながら航平を見上げた。


「‥‥?」


いつになく真剣な表情の航平。

その視線をたどっていった先に居たのは‥‥


「お母さん‥?」


そして、もう一人。

母の隣に座っていたのは、崇さんだった。



「お母さんと崇さん‥?」


航平が隠れたりするから、つい小声になる。


「何で隠れるの?」

「何話してるんだろう?」

「何って‥」


ユーリやあたしの病状とかに決まってる。

母は前に一度、家まで送ってくれた崇さんを見かけて、あたしとの仲を疑っていたみたいだけど、それも今回の事で解決した筈だった。



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