夢みたもの
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「食べた 食べた」


成り行き上、あたしの家で夕食を食べた航平。

あたしの部屋に戻るなり、満足気にそう言って腰を下ろした。


「やっぱり、おばさんの料理は最高だね」

「クリスマスは食べ損ねちゃったし‥?」

「まぁね。でも、今日もご馳走だったなぁ〜‥」


「ひなこの好きな物ばっかりだったけど‥」そう付け加えた航平は、コーヒーを口に運びながらあたしに笑いかける。


「でも、何か安心した」

「安心?」

「おじさんとおばさん‥何より、ひなこのぎこちなさが無くなってた」

「‥‥」

「きっと‥これからは、ひなこが望むようになるよ」

「‥うん」



ずっと望んでいたもの。

夢見てきたもの。

それが手に入る。


それは、信じられないぐらい嬉しくて、幸せに感じるものだった。



「でもさ‥、あれ‥‥気にならない?」

「あれ‥?」


小さく呟いて、あたしは口をつぐんだ。


航平が何を差した分かる。

でも、その事を口にするのは、両親に対しての裏切りのような気がして‥、あたしは言葉を濁して航平を見た。


「‥‥あれ‥ね」

「抵抗あるのも分かるし、何で今?って思うのも分かるけどさ」

「‥‥」

「今を逃したら、もう2度と手にする事が出来ないかもしれないよ?」


航平はあたしを見つめてそう言った。



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