夢みたもの
「‥‥ごめん。知らない」


出来るだけ平静を装ってそう言った。



本当は知りたい。

今すぐにでも、ユーリに詰め寄りたい。

でも、日記の内容を思うと、ここでユーリに聞くのはためらわれた。



「そっか‥、それなら良いんだ」


ユーリはそう言って小さく頷く。


「その日記がどうかしたの‥?」

「うん。父の形見だから‥‥無くしてしまったら困るんだ」

「そう」

「でも、もし見付かったら‥‥」


そこで言葉を切ったユーリは、あたしを真っ直ぐ見つめて微笑んだ。


「僕は、ひなこに読んで貰いたい」

「‥‥え?」


思いがけないユーリの言葉に、鼓動が一気に速くなる。

不安と‥‥少しの期待で胸が一杯で、息苦しくなった。



「あたしが読んでも‥‥良いの?」

「うん。読んで欲しい」

「‥‥どうして?」

「ひなこが幸せになる為に‥必要な事だと思うから」


あたしの質問に、ユーリは間髪入れずそう答える。


「言ったでしょ?僕は、ひなこが幸せで、いつも笑っていて欲しい」

「‥‥」

「父の日記は、その為に必要だと思う」



あたしの手を強く握り締めて、ユーリは穏やかに微笑んだ。



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