夢みたもの
鞠子によると、宮藤君はクールで格好良いと女子の間ではかなり人気があるらしい。

ただ、人気がある代わりに、恋の噂に事欠かない。


鞠子の話にしょっちゅう名前が出てくるから、親しい訳じゃないのによく知っている。

そして、あたしは以前から、そんな宮藤君が航平と親しい事が少し意外だった。


「荷物取りに行かないといけないし。ほら、ひなこ 行こう?」

「あ、うん」


航平に促されたあたしは、歯切れの悪い返事を返した。


音楽室が気になって、ついドアに視線が向かってしまう。


結局、誰がピアノを弾いていたのか分からない。

騒がしくしているせいなのか、さっきからピアノの音は止んだまま。

中に居る人物を確かめる事が出来なくて、あたしは予想以上に落胆して、小さくため息をついた。


「雪村さん、音楽室に何かあるの?」

「えっ!?」


ふと気付くと、宮藤君が射るような視線を投げかけていた。


「さっきから気にしてるみたいだけど?」

「え・・・うんん、何も」


言い当てられたあたしは、慌てて首を振った。


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