夢みたもの
「間違っていたら教えて下さい」


航平は佐知先生にそう告げると、一つ一つを確認するように話し始めた。



あの頃、まだ新米だった佐知先生があたしと園長について気付いたのは、あたしがよく逃げ出していた事に加えて、あたしが夜を恐がっていたからだった。

園長が宿直の時に、異常に怯えるあたしの様子に疑問を持ったのが最初。

その後、注意して見るようにしたけれど、確信が持てなかった。



「何度か‥ひなこちゃんの口元や手足に痣があるのを見かけて‥‥園長に話をしたんだけど『転んだ』って言って取り合ってくれなくて‥‥」


佐知先生はそう付け加えて肩を落とした。



他にもう一人、日中だけ勤務する先生が居たけれど、園長があたしを気に入っているだけと、良い様に解釈していて笑い飛ばされた。


そんな中。

何度目かの脱走を計ったあたしは、ユーリの家に保護される。



「あの時は‥心からほっとしたの」


話がユーリの家族に差しかかった時、佐知先生はほっとした表情で息を吐いた。


「とても良いご家族で、ひなこちゃんをしばらく預かりたいって言ってくれて‥‥」


「それなのに‥」そう続けた佐知先生は、辛そうに眉根を寄せて口をつぐんだ。



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