夢みたもの
日記は、ユーリの家族がウィーンに行く事が決まった処まで進んでいる。

そして、その次に書かれていたのは、母についてだった。



  §──・…‥:‥…・──§


今日。

恵の居場所が分かった。


7年前。

生活に困ってひなこを施設に預けたらしいが、迎えに行く少し前に病気になって、しばらく入院していたらしい。

今は元気になったらしいが、生活は苦しそうだ。


ひなこの現状と今後について話をしなくてはいけない。


来週、詩織と会いに行こうと思う。


  §──・…‥:‥…・──§



「おばさん‥大変だったんだ」

「‥え?」

「この病気‥命に関わるようなものじゃないけど、生活するのに苦労した筈だよ」


航平が日記に書かれた病名を指差してそう言った。


「再発もしやすいんじゃないかな?」


「だから‥迎えに来なかったんだ‥‥」


あたしはポツリと呟いた。



やっと‥胸のつかえが取れた気がする。


優しい母。

その事は、今まで過ごした長い年月でよく分かってる。

母が本当の母親だったら‥‥と何度も思った。

それが現実になって、嬉しいのに‥‥


でも

それなら、どうして?

‥‥って思ってた。


どうして迎えに来てくれなかったんだろう‥って。


その疑問が解消されていく。

日記を読む事は、やっと手に入れた幸せを、より確実にしていく為の確認作業みたいだった。



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