夢みたもの
「航平って・・・何でも出来るよね」



教科書と辞書を交互に見ながら、あたしは航平に話しかける。

航平に教えて貰って、予習は思いの外スムーズに進む。

悔しいけれど、改めて、航平の優秀さを思い知った。



「勉強も運動も、あたしが必死に頑張ってるのに、さらりとこなすし」

「なに?突然どうしたの?」

「ズルイを通り超して、尊敬しちゃうよ」


「惚れ直した?」



その言葉に顔を上げると、航平がニコニコ笑ってあたしを見つめていた。



「冗談はおいといて」



あたしがため息混じりに首を振ると、航平は「つまんないの」と言って口を尖らせた。



「ねぇ、航平は特別なの?」



ふと母の言葉を思い出した。



「え・・・突然なに?」

「分かんないけど」



あたしがそう言うと、首をかしげていた航平は、小さく吹き出した。



「ひなこ 訳分かんないって」

「だって、お母さんが言ってたんだもん。航平は特別だって」

「おばさんが?」



あたしが頷くと、航平は考えるように少し眉根を寄せた。


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