今夜、月に彷徨うユートピア
彼とは大学で知り合った。
同じサークルに所属していて、2年上の先輩だった。

優しくて、格好良くて、気さくな先輩。

そんな先輩を狙う女子は当然ながら多い訳で。
勿論、私以外の女の子は全員可愛くて綺麗だから、私は論外かなー、なんて思っていた。

ちゃっかり、アプローチはしていたのだけれど。

そのうちの一つが、煙草とお酒だ。
大人っぽい人が好み、なんて噂を聞きつけたのがきっかけだった。

生憎、酒には強い方ではなかったが、度数が低ければ楽しむ程度には飲める。
だから、彼と同じ飲み会やら打ち上げでも失態は晒さないように、でもある程度お酒は飲むようにしていた。

それが恋の発展に効果的だったかどうかは今になっても分からないけれど。

そんなことをして早一年。
ちょっと曇りがかっていた日。
自分の精一杯のお洒落をして先輩を呼んだ。
久しぶりに履いたヒールで靴擦れを起こしていたのもいい思い出かもしれない。
そんな中。

なんとか、これまでの気持ちを伝えられるように、

なんとか、この思いを本気で受け取って貰えるように、

なんとか、先輩と未来も一緒にいられるように、



自分の精一杯の「好きです」を先輩に伝えた。

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