あなたに呪いを差し上げましょう
「ルークさま。わたくしは……父や公爵領の領民や、この国や、大陸の平和のため、ましてやあなたさまのために死ぬのではありません」
わたくしはなにも、だれかのために泡になりたいわけではないわ。
わたくしにだって、簡単に手渡してはいけないものがあるのだもの。
どうぞ勘違いなさらないでくださいませ、とわざと感じの悪い言い回しをした。
「わたくしは。父やこの国や、あなたさまを想うわたくしのためにこそ、死ねるのです」
大丈夫、と思った。いざというときに死ぬのは怖くない。
わたくしの死ぬ瞬間、そのたった一瞬だけでもわたくしの命に価値がある限り、わたくしの死は永遠に無駄にならない。
語り継がれなくても、わたくしが胸を張って散れるのならば、それだけで意味がある。忌子であった、意味がある。
「それとも、あなたさまがわたくしの望みをかなえてくださいますか。あなたさまがこの国を救い、豊かにし、大陸を永遠に平和にし、この領地を潤し、そのうえでわたくしを攫ってくださるのですか」
明確な諦念がにじんだ問いかけに、ルークさまはぎりりと唇を噛んだ。
「……友好条約を結びます」
「条約とは得てして破られるものですわ。現に隣国は、わが国に攻め入ろうとしております」
破れない条約はない。必ずと言いきれるものもない。
固い意思で言い募ると、やはりあなたは得がたいお方だ、と呟きが落ちた。
「いやですわ。あなたさまこそが得がたいお方です——殿下」
わたくしはなにも、だれかのために泡になりたいわけではないわ。
わたくしにだって、簡単に手渡してはいけないものがあるのだもの。
どうぞ勘違いなさらないでくださいませ、とわざと感じの悪い言い回しをした。
「わたくしは。父やこの国や、あなたさまを想うわたくしのためにこそ、死ねるのです」
大丈夫、と思った。いざというときに死ぬのは怖くない。
わたくしの死ぬ瞬間、そのたった一瞬だけでもわたくしの命に価値がある限り、わたくしの死は永遠に無駄にならない。
語り継がれなくても、わたくしが胸を張って散れるのならば、それだけで意味がある。忌子であった、意味がある。
「それとも、あなたさまがわたくしの望みをかなえてくださいますか。あなたさまがこの国を救い、豊かにし、大陸を永遠に平和にし、この領地を潤し、そのうえでわたくしを攫ってくださるのですか」
明確な諦念がにじんだ問いかけに、ルークさまはぎりりと唇を噛んだ。
「……友好条約を結びます」
「条約とは得てして破られるものですわ。現に隣国は、わが国に攻め入ろうとしております」
破れない条約はない。必ずと言いきれるものもない。
固い意思で言い募ると、やはりあなたは得がたいお方だ、と呟きが落ちた。
「いやですわ。あなたさまこそが得がたいお方です——殿下」