おうちかいだん
ギシ……。
ギシ……。
階段の木が軋む音は好きだ。
何となくだけど心地よく感じるから。
それなのにこの階段は私を振り返らせようとしてくる。
どんなに警戒をしていても……だ。
ゆっくりと歩き、半分ほどが過ぎた時だった。
パンパンッ!
と、耳元で手を叩くような音が聞こえて、私は「ひっ!」と小さく悲鳴を上げた。
身体がビクッと震えて、壁に身体を打ち付けるようにして動きを止めた。
「今の……何」
音だけではない。
視界の右端に見えたのは、確かに人の手。
声だけではなく、ついに手まで見えるようになって、私を振り返らせようとしているのかと、気味の悪いものを感じずにはいられなかった。
「や、やめてよ……2階には誰もいないのに」
そう、この家の2階には、私の部屋と和室が2つあるだけで、私以外には誰もいない。
それなのに、私の背後から手が出てくるなんてことは有り得るはずがないのだ。
考えれば考えるほど、気味が悪くなる。
全身の毛が逆立つような恐ろしさを感じて、慌てて階段を駆け下りようとしたその時だった。