おうちかいだん




ギシ……。





ギシ……。





階段の木が軋む音は好きだ。


何となくだけど心地よく感じるから。


それなのにこの階段は私を振り返らせようとしてくる。


どんなに警戒をしていても……だ。


ゆっくりと歩き、半分ほどが過ぎた時だった。










パンパンッ!









と、耳元で手を叩くような音が聞こえて、私は「ひっ!」と小さく悲鳴を上げた。


身体がビクッと震えて、壁に身体を打ち付けるようにして動きを止めた。


「今の……何」


音だけではない。


視界の右端に見えたのは、確かに人の手。


声だけではなく、ついに手まで見えるようになって、私を振り返らせようとしているのかと、気味の悪いものを感じずにはいられなかった。


「や、やめてよ……2階には誰もいないのに」


そう、この家の2階には、私の部屋と和室が2つあるだけで、私以外には誰もいない。


それなのに、私の背後から手が出てくるなんてことは有り得るはずがないのだ。


考えれば考えるほど、気味が悪くなる。


全身の毛が逆立つような恐ろしさを感じて、慌てて階段を駆け下りようとしたその時だった。
< 123 / 231 >

この作品をシェア

pagetop