おうちかいだん
「お母さん……どこ? さっき、何を言おうとしたの? ねえ、お母さん!」


家の中を歩き回り、私はお母さんを探し続けた。


私を突き落とそうとしたのがお母さんなはずがない。


あれはきっと、私を転落させようとした幽霊が化けていたに違いないから。


何か気に食わないことがあったら、いつも私をぶつお母さんだったけど、あんなことをするはずがない。


「お母さん! どこよ!」


涙を流しながら声を上げていると、奥の部屋からおじいちゃんが何事かと出てきた。


「どうしたんじゃミサちゃん。どうして泣いてるんじゃ」


滑舌の悪いおじいちゃんはいつも私の名前を発音できない。


「お母さんがいないの。階段で幽霊が出て、私は落とされそうになって……それで……」


きっと、私が何を言っているか、おじいちゃんは理解出来なかっただろう。


それでもうんうんと頷いて。


「わかったわかった、お母さんは探しておくからの、ミサちゃんは学校に行っておいで。幽霊なんかおりゃせんよ。きっと夢でも見たんじゃ。ほら、おじいちゃんが玄関まで連れて行ってあげるでの」


とてもそんな気にはなれなかったけど、少しでもこの家にいたくなかった私は、おじいちゃんに言われるままに家を出た。


階段にぶら下がっているモノは見ないように。
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