おうちかいだん
あれからどれくらい経っただろう。


ずっと声を出し続けて、喉がおかしくなってきた。


鏡の中の不気味な女の人を見慣れてしまったのか、気持ち悪いという感覚さえわからなくなって、頭の中がぐちゃぐちゃな感じがする。


「お前は……私じゃない」


その言葉を発するたび、この女の人を否定するけど、この人は一体誰で、何のためにミサを追い出して私の姿として居座っているんだろう。


「お前は……私じゃない」


考える時間だけは、永遠とも思えるくらいにある。


女の人を見てはいるけど、もはやこれが誰だかわからない。


私の姿はミサのはずなのに、否定し続けているとそれすらもわからなくなってしまう。


そもそも私は誰なんだろう。


私はどこにいるんだろうと、徐々に精神がおかしくなって行くのがわかる。


いつもなら寝ている時間なのに、こんな恐ろしいことをしていて、夢か現実かもわからなくなってしまっているよ。


ふわふわとした、夢の中の出来事に近いと言えばそうだけど、はっきりとした恐怖が不意に襲ってくる現実感もある。


何より恐ろしいのは、この言葉を唱え続けていて、自分が自分じゃなくなるような感覚に襲われていることだ。
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