おうちかいだん
1本目のロウソクが燃え尽きる。


それに気付いた私は、慌てて2本目のロウソクを用意して、鏡の前に立てた。


「ふぅ……お前は、私じゃない」


もう何千回この言葉を吐き出しただろう。


部屋の中が暗いということは、まだまだ夜明けは遠いということでため息が出る。


いや、それよりももっと身に迫る危機というか、考えなければならないことが私の身体に起こっていたのだ。


だけどこのことをミサは教えてくれなかった。


「お前は……わ、私じゃ……ない」


もじもじとしながら声を発し続けた私に、鏡に映らない位置にいるミサが気付いたのか、不思議そうに声を掛けた。


「どうしたのリサ。そんなにもじもじして。もしかして……トイレに行きたいの?」


「お前は、私じゃない」


私が思っていることを当ててくれて、小さく何度も頷いた。


求めている答えは「早く行ってきなさい。戻ったらすぐに再開するのよ」というものだったけど、ミサの口から飛び出した言葉は……。









「そのまま漏らしちゃいなさい。今ここで中断すれば、明日またやり直しになるわよ。今までの頑張りがなかったことになるけど、それでもいいなら行ってきなさい」







よりによって、お漏らしをしろと言われたのだ。
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