おうちかいだん
やっぱり断られてしまった。
こうなるのがわかっているから、夜中に起きないように頑張っていたのに。
夜のトイレが怖い理由は、足首を掴まれるからというだけではない。
まだ他にも理由はあった。
仕方なく階段を下りて、私が一人で来るのを待っていたと言わんばかりに異様な空気を放つトイレに、恐る恐る近付いて。
電気を点けてトイレの引き戸を開けた。
うちのトイレの個室は2つ。
手前と奥にあって、普段使われているのは手前の個室だ。
奥の個室は、そもそも使えないように板が打ち付けられていて開かなくなっているわけだけど……この日は違った。
なぜか板が剥がされて、奥の個室のドアが開いていたのだ。
「なんで開いてるのよ。本当にやめてよ……今日は私一人しかいないのに」
昔から、年に何回かはこういうことがあった。
昼間に家族の誰かが、奥の個室のドアを開けたのかなと思っていたけど、翌朝には開かないように閉じられていて、誰も開けてないという。
そして奥の個室のドアが開いている日は、トイレに入ってすぐに私を見てくる幽霊が、いなくなっているのだ。
ほんの一瞬、このいつもとは違うシンプルな光景に喜んでしまいそうになるけれど、そうではなかった。
こうなるのがわかっているから、夜中に起きないように頑張っていたのに。
夜のトイレが怖い理由は、足首を掴まれるからというだけではない。
まだ他にも理由はあった。
仕方なく階段を下りて、私が一人で来るのを待っていたと言わんばかりに異様な空気を放つトイレに、恐る恐る近付いて。
電気を点けてトイレの引き戸を開けた。
うちのトイレの個室は2つ。
手前と奥にあって、普段使われているのは手前の個室だ。
奥の個室は、そもそも使えないように板が打ち付けられていて開かなくなっているわけだけど……この日は違った。
なぜか板が剥がされて、奥の個室のドアが開いていたのだ。
「なんで開いてるのよ。本当にやめてよ……今日は私一人しかいないのに」
昔から、年に何回かはこういうことがあった。
昼間に家族の誰かが、奥の個室のドアを開けたのかなと思っていたけど、翌朝には開かないように閉じられていて、誰も開けてないという。
そして奥の個室のドアが開いている日は、トイレに入ってすぐに私を見てくる幽霊が、いなくなっているのだ。
ほんの一瞬、このいつもとは違うシンプルな光景に喜んでしまいそうになるけれど、そうではなかった。