おうちかいだん
何も怖いことが怒らなければ大好きなお風呂。


今日は大丈夫なんだと、湯船に浸かって安堵の吐息を漏らす。


いつもこんなに安心できるならいいのにな。


なんでまた、幽霊がいるかも……って考えたくらいで本当にその存在を感じてしまうんだか。


本当に勘弁してほしいよ。


「ふわぁぁ……この気持ちいい中で眠れたら最高だろうな」


なんて、頭を洗わないと決めたから油断したのかもしれない。


すぅっとゆっくり息を吸いんで、幸せな気分と、ほんのちょっぴりの不安に包まれながら……私は目を閉じた。


湯船に浸かると無意識に目を閉じてしまう癖がある。


ここ最近は気を張って、洗髪や洗顔の時は目を閉じてしまわないように気を付けていた。


だけどもしかしてと思ったのは、安心の中で息を吐いている最中のことだった。


「はっ! ヤバッ!」


そのことに気付いて、目を開けた時にはもう遅かった。


浴室内は真っ赤な液体で染まり、私はその赤い何かに包まれていたのだ。


「ひっ!」


暖かく、リラックスできる空間が一転、冷気と死臭漂う地獄へと変わってしまったことを知って、私の心は何者かに握り潰されるかのような恐怖に震えた。
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