おうちかいだん
三人を脱衣所の前に連れて行き、ドアが開いた浴室を指さした。


「ひとつだけ教えてあげるね。浴室に入って、目を瞑っちゃダメ。まばたきくらいならいいけど、長く目を瞑っちゃダメ。幽霊のことを考えたら、あなた達はきっと死ぬから」


私がそう言うと、三人は顔を見合わせて首を傾げた。


「いや、意味がわかんないんだけど。私達にこの中に入れっての? バカじゃない? なんでそんなことをしなきゃならな……」


「怖いんだ?」


実に単純で、私がそう一言呟いただけで、あからさまに不機嫌そうな表情になって。


鼻で笑って私を押し退けると、三人は浴室に足を踏み入れた。


狭くはないけど、そこまで広くもない浴室。


三人が入ると洗い場はさすがに狭そうに感じる。


「で? 中に入ったけど何もないんだけど。てか、何するつもりだったわけ? 私達をこんな所に入れてさ」


「すぐにわかるよ。ああ、そうそう。さっきも言ったけど、目を瞑っちゃダメだからね? 幽霊が……殺しに来るから」


私をバカにしたような目で見るクラスメイトにそう言って、私はゆっくりと浴室のドアを閉めた。


ああそうだ。


お風呂に入れないなら、身体を拭けば少しは臭いがしなくなるかもしれない。
< 75 / 231 >

この作品をシェア

pagetop