エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う
『む、そうか。いいのが撮れたら、ぜひ私にも送ってくれ』
『やだ、お父さんったら。娘が好きな人の前だけで見せる表情の写真なんて見ても、むなしくなるだけよ?』
『やめてくれ母さん……。わかっているけど言ってみただけじゃないか』
からからと笑うお母さんと、子どものように拗ねた顔をする先生。
ふたりを見ていると、この家で育った花純が、明るく素直でお茶目な性格になった理由がよくわかる。
……俺の育った環境とは大違いだ。
仲の良い花純の両親に挟まれ、俺は少し感傷的な気分でグラスに残っていたウィスキーを呷った。
その夜アルバムを見たこととご両親との会話は、花純には内緒にしている。
というか、言えるはずがない。子ども時代の彼女が悶えそうなほどかわいくて、アルバムを欲しがったなんて。口が裂けても言えるか。
「司波さん」
「ん? なんだ?」
運転しながら回想しているだけで、あっという間にマンションに着いた。
花純はずっと助手席で大人しく座っていたが、地下駐車場に車を停めると同時に、かしこまった様子で口を開く。