エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う
言われてみれば、彼は言葉と行動、表情がバラバラなことがよくある。
私の料理が食べたいとおねだりするわりに、あからさまに不機嫌な顔だったり。
下の名前で呼んでいいかと聞いいたら、許可してくれたはいいけど、完全に怒った顔だったり。
本当はどう思っているのか理解に苦しむ場面も多かったけれど……彼は単に照れているだけだったんだ。
「ふふっ。かわいい」
呆気ない真実に、つい笑いながらそんな言葉がこぼれた。
年上の男性である時成さんにはそぐわない褒め言葉だとわかっているけれど、今の彼はどうしてかかわいいという言葉が似合う。
「どこがだよ。……お前だろ、かわいいのは」
「はい?」
き、聞き間違い?
思わぬセリフに固まった私は、瞬きを繰り返して時成さんを見る。彼はそんな私をまっすぐに見据え、改めて口を開いた。
「そう思ってるから、バレンシアを飲ませた。オムライスにma chérieと書いた。ずっと会っていなかった妹や親しい同僚に紹介したいと思ったのも、お前がかわいくてしょうがないからだよ。わかったか?」