エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う

 困惑してそう尋ねた瞬間、手の中からスッとスマホが抜き取られた。振り向くと、なぜか伏見くんが私のスマホを耳に当てている。

「こんばんは、花純さんの婚約者さん」
「ちょっと、伏見くん……!」

 私たちが一緒にいること、時成さんは知らないのに!

 思わぬの形でこちらの状況が彼に知られる事態になってしまい、焦りと時成さんへの申し訳なさで胸がいっぱいになる。

 ひとりで出張だと話してあるんだもの、時成さん、驚いたよね。

 もしかしたら、嘘をついていたと誤解される可能性だって……。

 きちんと報告していなかった自分が悪いとはいえやるせなくて、太股に置いた手でドレスのスカートをギュッと掴む。そんな私の傍らで、伏見くんは時成さんとの話を続けていた。

「だとしたらどうするんですか? 今から新幹線に乗ったところで、俺と花純さんはとっくにホテルの中。着いた時には手遅れかもしれませんよ?」

 時成さん、やっぱり今から東京を出てこっちに向かうつもりなの? どうして急に……。それに、伏見君の言う〝手遅れ〟ってなんのこと?

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