エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う
「と、時成さん……!?」
スマホを片手に不敵に微笑んでいるのは、東京で私を待っているはずの時成さんだった。
なんで? どうして?
私は驚きで口もきけないまま、ただ目を丸くして彼を見る。
時成さんは、必要なくなったスマホをポケットにしまい、私たちに歩み寄ってくる。
そして、憮然とする伏見くんの前に立ち、自分より十センチほど背の低い彼を冷たい視線で見下ろした。
「人の女に手ぇ出してんじゃねぇよ」
静かな中に怒気を孕ませ低音に、ぞくりと身が縮んだ。
彼の口が悪いのには慣れているが、普段よりいっそう乱暴な言葉を吐く彼に、本気の怒りを感じる。
伏見くんは一瞬気圧されたように瞳を揺らしたが、直後には負けじと強気な視線を時成さんに向けた。
「あなたに文句を言う筋合いがありますか? 一番そばにいるくせに、花純さんを不安にさせて」
「それは俺が花純に謝ることであって、部外者には関係ないだろ。それとも、不安そうな女だったら、お前は誰彼構わず手を出すのか? 人の弱みにつけ込むなんて、最低野郎だな」
時成さんが嘲笑交じりに言い返すと、伏見くんはぐっと言葉に詰まって地面に視線を落とす。