エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う

 この人……私自身だけでなく、私の職業までばかにしてる?

 ムッとして言い返そうとしたら、私たちのテーブルに先ほどのウエイターがサービスワゴンを引いてやってきた。

 高級感あふれる陶器のポットにカップ、鳥籠を模したかわいらしい三段のケーキスタンド、バスケットに入った焼き立てのスコーンなど、見ているだけで心が弾むアフタヌーンティーセットが、丁寧にテーブルに並べられる。

 ウエイターは私と司波さんに一杯ずつ紅茶を注ぐと、「ごゆっくりお寛ぎください」とテーブルを離れていった。

 私は一瞬お見合いのことを忘れてスマホを取り出し、カメラでテーブルの上を撮影する。

「素敵。やっぱり、グレードの高いホテルはお客さんをワクワクさせる演出がうまいな」

 ほくほくしながらそんな独り言をつぶやくが、司波さんは完全無視。カチャ、と控えめな音を立ててソーサーから紅茶のカップを取り、つまらなそうに口をつけた。

 帰りたいオーラ出しすぎでしょ……。

 彼の様子を見る限り、このお見合いは続ける意味がなさそうだ。

 とはいえ、せっかくのアフタヌーンティーでなにも食べずに帰るのは悔しい。司波さんのことは気にせず、食事に集中しよう。

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