エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う
イメージしていたお見合いとはまったく違う展開に、私は呆気にとられる。司波さんの人物像も、父から聞いていた話と違う。
私はもっと、優しく物腰の柔らかい大人の男性を想像していたんだけど……。
「黙り込んでどうした。どうせそっちだって、男に縁がなくて藁をもすがる思いで臨んだ見合いなんだろう? まさか、陳腐なドラマのように、初対面で恋に落ちるなんて期待でもしていたのか?」
片眉を上げ、口元に嘲笑を浮かべる司波さん。
初対面なのに失礼な物言いをされて腹立たしいのと、彼の言うような期待をわずかながら抱いていたのが図星だったので、かぁっと頬が熱くなった。
お父さん、なんでこんな無礼な男性を私に紹介しようと思ったの……?
膝の上でギュッとこぶしを握り、反論のために口を開く。
「別に、藁をもすがる思いというわけではありません……。ただ、仕事を通して世間が私に抱いているイメージと本来の自分が違いすぎるので、こうした場で男性と話す経験も私には必要かと考えたまでで」
「榛名先生に聞いたが、料理研究家だそうだな。ただ料理を作ってればいいのかと思いきや、人気稼業の側面もあって大変だな。芸能人でもないのに」