エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う
「素敵。水族館のクラゲになった気分です」
「お前な。素敵というからにはもっと気の利いた例えをしろ。さっきの秘密基地といい、お前の成長は小学生で止まっているのか?」
「大人だって秘密基地に憧れますし、水族館も好きですよ。それに私、お酒だってちゃんと飲めますから」
並んでカウンター席に座ったところで得意げに宣言すると、司波さんが薄く笑って呟く。
「お前、俺の吐く毒に耐性がついてきたな。いちいち怒らなくなった」
「あ、そうかも」
他愛ない会話でクスクス笑っていると、なんだか私たちって、普通の恋人同士みたいじゃない? なんて思う。
そんなささいなことで喜びを感じるってことは、やっぱり私、司波さんのことが気になっているんだな……。
「で、なにを飲む?」
「そうですね……喉が渇いたので、フルーツ系がいいかな」
司波さんにそうリクエストすると、彼がバーテンダーを呼ぶ。そして注文している途中、私のバッグの中で携帯が震えた。