エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う

 どれも同じ? この人、料理をなんだと思っているんだろう。

 どこまでも冷ややかな態度を貫く司波さんに反感を覚え、口を挟まずにはいられない。

「あの、例えばですけど。司波さんがお酒のおつまみに、冷奴が食べたいなと思ったとします。その時、パックの蓋を開けただけの豆腐を出されたらどう思います? せめてお皿に移してほしいな、欲を言えば薬味があるといいな、とか思いません?」

 我ながら極端な例えだと思うけれど、わからず屋の司波さんに説明するにはこれくらいでちょうどいいだろう。

「別に。俺は黙ってパックの豆腐に醤油をかけて食べる。それで十分だ」
「いえ、ですからただ〝十分だ〟と思うものを食べるより、少しの手間で得られる心の潤いが大事だと私は言いたくてですね……!」
「ムキになるなよ。俺とお前とでは、考え方が違う。それだけのことだ」

 ダメだ。全然わかってもらえない。っていうか、〝お前〟って……! この人どんどん失礼になってくるんですけど!

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