エリート官僚はお見合い妻と初夜に愛を契り合う
「お前はやめてください! 私には榛名花純というれっきとした名前があります! それに、お料理のことだってまだ納得してません!」
「しつこいな。俺には、たかが料理に人の心をどうこうする力があるとは思えない。甘いものばかりのこんなティーセットも、心が安らぐどころか見ているだけでうんざりするね」
司波さんはテーブルに並んだ罪のないお菓子たちを見ながら顎をしゃくってそう言った。
サンドイッチは甘くないけれど、確かに他のものはケーキやマカロンなどのスイーツばかり。今日のお見合いの場所を選んだのは私の父だから、私の好みを優先させたのかもしれない。
そこまで思って、ハッとする。
もしかして、司波さんはもっと違うお料理が食べたかったのかな。だからこんなに苛々して、初対面の私に突っかかってくるんだ。
ひとり納得した私は、改めて司波さんの顔をまじまじと見つめた。顔立ちの端整さばかりに気を取られていたけれど、よく見ると薄っすら目の下にクマがあり、顔色もあまりよくない。
疲れがたまっていそうだし……鉄分不足かもしれない。だとしたら、ここに並んだ料理では彼に足りないものを補うことはできない。だったら……。