コリウス〜かなわぬ恋〜
「起き上がれる?」



と優しく声をかけ起き上がらせてくれた新田さん。



「大丈夫?」


「...はい」


「おいで」




と腕を広げた新田さん。

ダメだと分かっているのに私はその腕の中へ飛び込んでしまった。

きっと甘えたかったのかもしれない。




「よしよし」




そう頭を撫でてくれる新田さんの手は暖かかった。




「田崎さんよう頑張ったよ。今日忙しかったもんな」




溢れていた涙はいつしか止まり、新田さんから離れた




「すいません。もう大丈夫です」


「なら良かった」




立ち上がる新田さんはそのまま部屋を出ず、話し出した。




「俺ね、店舗に一人は依存できる人がいないとダメなんだ」


「...?」


「俺のことを全部受け止めてくれる人。俺結婚してるし、子供もいるじゃん?全部わかってて割り切れる人」


「....私にそれをしろと?」


「うん」


「...私、精神不安定ですよ。すぐ病んじゃうし腕だって切っちゃいますけど」


「受け止めるよ。君が受け止めてくれるなら」


「.....わかりました」


「ちゃんと割り切れる?」


「....割り切れますよ」




きっと甘えれる人がほしかったんだ。

父になって甘えることが出来なくなった彼も、
誰かに愛されたかった私も、



誰かに必要とされたかったんだ.....
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