コリウス〜かなわぬ恋〜
その日の夜は三連休最終日だからか、とても忙しかった。
「今日めっちゃ忙しいなぁ」
そう言ったのは一緒にキッチンをしている同い年3人組の1人、沖矢夏樹。男だ。
「そうだね。でも、もう少しでもう一人出勤してくるから」
「えー、俺あの人嫌い」
「最近夏にだけ当たり強いもんね」
「俺なんもしてないんだけど」
2人で駄べりながらも料理は出していく。
そんな料理を忙しなく運んでいくフロアの子達。
「おはようございまーす!!!」
忙しない中、キッチンに響く大きな声。
その声を聞いて露骨に嫌な顔をする夏樹。
「あ、新しい店長っすか!?よろしくお願いします!!」
「元気っすね!新田圭介です!」
「長谷部龍二です!」
長谷部龍二こと、龍さん。
年は新田さんよりも10個上のおじさんだ。
だけど性格は子供。
怒らしたら怖い人だ。
龍さんも揃い忙しくなってくる店。
この店にはそれぞれ役割がある。
案内する子
オーダーを取る子
レジをする子
料理を持っていく子
ドリンクを作る子
キッチンの子
龍さんの役割は案内で、案内役の人はレジも料理を持っていくこともしなくていいのだ。
案内優先で動かなくてはいけないため、あまりキッチンの方に来てはいけない。
だけどその日龍さんは新しい店長が来たという事でいい所を見せたいのか、キッチン以外の役割に手を出すから他の子達が戸惑っていた。
「あの人....案内役ってわかってる...?」
「めっちゃくちゃな動きしてるよね」
キッチンでその様子を見ていた私と夏樹。
1回のピークがすぎた頃、龍さんがすごい調子に乗っていたのだ。
「いやぁ、俺のおかげで回ったな!」
その言葉に誰も返事を返さなかった。
「忙しかったっすね!」
場を和ますためか、洗い場を回していた新田さんがそう言った。
「絵梨花!見てこの子!可愛いやろ!」
今日は深夜までの龍さんが休憩に行くのにスマホを片手に見せてきたのは知らない女の子。
ちなみに言っておくと、龍さんは既婚者だ。
だけど女遊びが激しい。
そしてそれを隠さずに言ってくる。
「あー、また新しい子?」
「そう!可愛いやろ?」
「可愛いけど、私のタイプではないな」
「えー!可愛いやん!」
と冗談で背中を叩いてくる龍さん。
この人力加減わかってないな....
「痛い...!」
「ほ、ほら長谷部さん!痛がってるんで叩くのはやめましょ!」
間に入ってくれたのは新田さんだった。
いつもなら軽く流せるんだけど、今日は精神が不安定だから流すことができない。
「ほら、もっと頑張れよ!」
と一言残して冷蔵庫の中へ行く龍さん。
少しして冷蔵庫からでてきたのはふざけた顔をした龍さんとイラついた顔をした夏樹。
龍さんはそのまま裏口の方へ行き、
夏樹は何故か腕をすごい洗っている。
「どうしたの」
「アイツ調子乗りすぎやろ。いきなり飲んでたお茶吹っ掛けられた」
それには新田さんも驚いてた
「とりあえず、二人とも大丈夫か?特に田崎さん背中....」
「まぁ...。“頑張れ”か....頑張ったんだけどなぁ。これ以上どう頑張ればいいの....」
夏樹と龍さんがアホみたいに取ってくるオーダーを何とか2人で出し切ったのに...
ダメだ...今日は精神が不安定すぎる
「おい、大丈夫か?どうした?」
そう言ってきたのは裏口へ行ったはずの龍さんだった。
「顔真っ青だぞ。どうした?」
どうしたもこうしたも全部お前のせいだろ!
と心の中で叫びつつも「大丈夫...」と言う。
「いや、大丈夫じゃないだろ。休憩室行くぞ」
と半ば強制的に連れて行かれた。
休憩室に入ると左側に着替える場所がある。
そこは靴を脱ぐため、みんなそこで寝転がることがある。
私はそこへ倒れこみ、押え抑えていた涙が一気に溢れ出た。
そこへガチャっと鍵を閉める音がした。
「大丈夫?」
龍さんだと思ったその声は新田さんだった。
「今日めっちゃ忙しいなぁ」
そう言ったのは一緒にキッチンをしている同い年3人組の1人、沖矢夏樹。男だ。
「そうだね。でも、もう少しでもう一人出勤してくるから」
「えー、俺あの人嫌い」
「最近夏にだけ当たり強いもんね」
「俺なんもしてないんだけど」
2人で駄べりながらも料理は出していく。
そんな料理を忙しなく運んでいくフロアの子達。
「おはようございまーす!!!」
忙しない中、キッチンに響く大きな声。
その声を聞いて露骨に嫌な顔をする夏樹。
「あ、新しい店長っすか!?よろしくお願いします!!」
「元気っすね!新田圭介です!」
「長谷部龍二です!」
長谷部龍二こと、龍さん。
年は新田さんよりも10個上のおじさんだ。
だけど性格は子供。
怒らしたら怖い人だ。
龍さんも揃い忙しくなってくる店。
この店にはそれぞれ役割がある。
案内する子
オーダーを取る子
レジをする子
料理を持っていく子
ドリンクを作る子
キッチンの子
龍さんの役割は案内で、案内役の人はレジも料理を持っていくこともしなくていいのだ。
案内優先で動かなくてはいけないため、あまりキッチンの方に来てはいけない。
だけどその日龍さんは新しい店長が来たという事でいい所を見せたいのか、キッチン以外の役割に手を出すから他の子達が戸惑っていた。
「あの人....案内役ってわかってる...?」
「めっちゃくちゃな動きしてるよね」
キッチンでその様子を見ていた私と夏樹。
1回のピークがすぎた頃、龍さんがすごい調子に乗っていたのだ。
「いやぁ、俺のおかげで回ったな!」
その言葉に誰も返事を返さなかった。
「忙しかったっすね!」
場を和ますためか、洗い場を回していた新田さんがそう言った。
「絵梨花!見てこの子!可愛いやろ!」
今日は深夜までの龍さんが休憩に行くのにスマホを片手に見せてきたのは知らない女の子。
ちなみに言っておくと、龍さんは既婚者だ。
だけど女遊びが激しい。
そしてそれを隠さずに言ってくる。
「あー、また新しい子?」
「そう!可愛いやろ?」
「可愛いけど、私のタイプではないな」
「えー!可愛いやん!」
と冗談で背中を叩いてくる龍さん。
この人力加減わかってないな....
「痛い...!」
「ほ、ほら長谷部さん!痛がってるんで叩くのはやめましょ!」
間に入ってくれたのは新田さんだった。
いつもなら軽く流せるんだけど、今日は精神が不安定だから流すことができない。
「ほら、もっと頑張れよ!」
と一言残して冷蔵庫の中へ行く龍さん。
少しして冷蔵庫からでてきたのはふざけた顔をした龍さんとイラついた顔をした夏樹。
龍さんはそのまま裏口の方へ行き、
夏樹は何故か腕をすごい洗っている。
「どうしたの」
「アイツ調子乗りすぎやろ。いきなり飲んでたお茶吹っ掛けられた」
それには新田さんも驚いてた
「とりあえず、二人とも大丈夫か?特に田崎さん背中....」
「まぁ...。“頑張れ”か....頑張ったんだけどなぁ。これ以上どう頑張ればいいの....」
夏樹と龍さんがアホみたいに取ってくるオーダーを何とか2人で出し切ったのに...
ダメだ...今日は精神が不安定すぎる
「おい、大丈夫か?どうした?」
そう言ってきたのは裏口へ行ったはずの龍さんだった。
「顔真っ青だぞ。どうした?」
どうしたもこうしたも全部お前のせいだろ!
と心の中で叫びつつも「大丈夫...」と言う。
「いや、大丈夫じゃないだろ。休憩室行くぞ」
と半ば強制的に連れて行かれた。
休憩室に入ると左側に着替える場所がある。
そこは靴を脱ぐため、みんなそこで寝転がることがある。
私はそこへ倒れこみ、押え抑えていた涙が一気に溢れ出た。
そこへガチャっと鍵を閉める音がした。
「大丈夫?」
龍さんだと思ったその声は新田さんだった。