捨てられ幼女は最強の聖女でした~もふもふ家族に拾われて甘やかされています!~
 戸惑っている私をよそに、ヒューゴは愛嬌たっぷりの笑みを浮かべると、私の顔に自分のそれを近づけて訊ねた。
「お嬢さん。お名前は? いくつかな~? 五歳くらいッスかね?」
 どうやら、彼らは私を小さな子どもだと思っているようだ。
 ――ああ! ヒューゴのまっすぐな瞳が辛い。
 どう答えたものだろう……。
 私は少しの間だけ逡巡すると、隠していても仕方がないと事実を口にすることにした。
「ええと……名前は、リリー・フォン・クライゼ……です。十六歳になりました」
 私の答えは、いろんな意味で彼らに衝撃を与えたらしい。
「ええええっ!? アンタ、オレと同い年ッスか!?」
「フォン……って、お貴族様んとこのお嬢様じゃないのっ!?」
「なんだ君、声もかわいいな!!」
 ――最後はなんかズレているような気もしたけれど。
 彼らは一様に顔を青ざめさせて、再び慌てだした。
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