渚便り【完】
「とにかく今から戻るから話すことがあるならそれからな」
案の定それを聞いて大人しくなった彼女は、「戻ってきたらみんなでビーチボールやるからね!強制参加だよ!」と勝手な約束を突き付けて、俺が返答するより先に通話を切った。
ツーツー、と無機質な音が規則的に鳴っている。
なんだかどっと疲れが押し寄せてきた。
根は悪い奴じゃないんだけど、つくづく騒がしい女だ。
「今のは彼女さんかな?」
「ああ」
「元気な人だねー」
「元気っつーか、世話焼きすぎてたまにウゼーくらいだけどな」
「良いじゃない。彼女さんにとって間瀬はそれだけ大切な存在ってことなんだと思うな」
悪気が無いのは分かっている。
けど伊波の言葉は俺の胸に棘を刺すように残酷なものに感じられた。
俺が好きなのは昔も今も伊波、お前なんだよ。
そんな無責任な想いを包み隠さず伝えられたら、この曇った気持ちは晴れるだろうか。
あの時は見上げていた伊波を今はこうして見下ろせる。
それだけ体は成長したというのに、俺が臆病者のままでいるところは変わっていなかった。
案の定それを聞いて大人しくなった彼女は、「戻ってきたらみんなでビーチボールやるからね!強制参加だよ!」と勝手な約束を突き付けて、俺が返答するより先に通話を切った。
ツーツー、と無機質な音が規則的に鳴っている。
なんだかどっと疲れが押し寄せてきた。
根は悪い奴じゃないんだけど、つくづく騒がしい女だ。
「今のは彼女さんかな?」
「ああ」
「元気な人だねー」
「元気っつーか、世話焼きすぎてたまにウゼーくらいだけどな」
「良いじゃない。彼女さんにとって間瀬はそれだけ大切な存在ってことなんだと思うな」
悪気が無いのは分かっている。
けど伊波の言葉は俺の胸に棘を刺すように残酷なものに感じられた。
俺が好きなのは昔も今も伊波、お前なんだよ。
そんな無責任な想いを包み隠さず伝えられたら、この曇った気持ちは晴れるだろうか。
あの時は見上げていた伊波を今はこうして見下ろせる。
それだけ体は成長したというのに、俺が臆病者のままでいるところは変わっていなかった。