勇者がうちにやってきた▼【完】
「おっはよー千歳!」


内心ドキドキしていると真純とヨリがやってきた。


「千歳なんか顔赤くない?具合悪いの?」
「や、暑いなーって思って」
「確かに暑い!学校来るまでに汗でベタベタだよー!」


ヨリの指摘を受け流せば、真純が自分の手でパタパタと顔を仰ぎ出した。

しばらくして担任が教室に入ってくるなり、長期休み明けの節目ということで席替えをすると言い出した。
せっかく近藤の隣であるこの座席も終わりか。
私が残念そうに肩を落としていると、


「ついに菱沼と離れちゃうのか。でもまた近くだと良いな!」


名残惜しそうにしている近藤と目が合う。
私はその言葉に動揺のあまりうんともすんとも返せなかった。

結局私は窓側の一番手前、近藤は廊下側から二番目の後ろという、それなりに離れた席になってしまった。
今朝の星座占いも微妙だったし、流石に運もここまで味方はしてくれなかったか。
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